40000Hitお礼フリーSS
【配布期間 7/17〜7/23マデ】




【ひらり。きらり。】



「巡回…行きませんか?」

岩瀬がそう囁いてきたのは、夜勤が始まって一時間ほど経った頃だった―。

本当ならば、今夜までは休みの予定だった。
だが、予定が繰り上がって今夜から仕事になってしまったのだった。
その事で岩瀬が難しい表情をしているのを見たのだが…
何時の間にやら機嫌が直っている―。
そんな岩瀬を不思議そうに見上げて、石川は首をかしげ…

「巡回にはまだ早くないか…?」
「いいじゃないですか。行きましょう!」

石川の手を引き、強引にセンターを抜け出し、E館へと連れ出した。
そして30階に着いたとき、岩瀬は腕時計を確認して…

「実は…ココからだとよく見えるんです…」

『悪戯が成功した者』特有の笑顔を浮かべた岩瀬がそう言ったと同時に、右手に夜空に輝く華が咲いた―。


きらりと咲いて。
ひらりと散って。
身体に響く重低音。
窓越しに伝わる夏の気配。


「花火…」

言葉もなく見入っている石川をそっと抱き締め―。

「今年から。コノ近くの河川敷で花火大会が始まったんですよ」
「…そっか…」
「タイミングよく休みだったから、行こうと思っていたんですよ。折角の夏ですし!」
「…夏…か…」
「本当は、もっと近くで見たかったんですけど…」
「………」
「仕事ですから、仕方ないんですけどね…今年はココで我慢してくださいネ」

石川は、忙しくて季節も感じられない自分を癒してくれる、恋人の優しい気遣いに感動する…

「…基寿…」
「綺麗ですね」
「あぁ…綺麗だな」

暫し、二人して無言で見入っていると。
花火は中盤の山場を迎えたようで―。
大輪の華が次々と打ち上げられる…

「凄いな…」
「ホントですね…」
「来年は、真下で見ましょうね!」
「うん…だけど…」

頷いて、でも―。という石川の顔を覗き込むと、柔らかく微笑んでいて…

「…ココで基寿と二人きりで見るのもいい…」
「…そうですね…」

石川の素直な言葉に岩瀬もつられて微笑んだ―。

「来年も…ずっと一緒に見ましょうね!」
「あぁ。そうだな」


そっと寄り添う恋人達の影を、夏の夜に咲く華が色とりどりに染め上げていた―。


夏のある夜の出来事。





―――――――オマケ―――――――――



「それに、ココだと、こんな事も出来ますし…?」

そっと頬を掠めた暖かい感触に石川は眼を細める。そして…

「…仕事中!!」

ガツッと見舞った拳が綺麗にヒットしたのは石川も計算外だったとか…





2007.07.17 UP



お礼SS…なのか?
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なにはともあれ。4万打!有り難う御座いましたvv